塗布技術研究について

塗布技術は、固体表面の改質制御にかかわる極めて今日的な、用途が広く奥行きの深い技術でありますが、その出来不出来が商品価値を大きく左右する為、生産技術関係の基盤技術の一つとしてその合理的基盤の確立が急務となっております。ところが、現状ではそれに関連する技術・研究情報が殆ど非公開非交換のため、現場の技術者の経験が合理的に蓄積されず同じ様なテストや経験を何度も繰り返すということを余儀なくされております。本誌は、塗布技術研究会の対外活動の一環として、このような非効率極まる現状を多少でも改善することを最終目標に致しております。

本誌の主たる対象読者は、塗布操作の実務家および生産技術関係の研究者です。そして、対象分野は塗布工程関連の操作と現象です。その目的の一つは、海外に於ける塗布操作関連の技術情報を収集しそのエッセンスを日本の技術者に伝えると共に、日本に於ける塗布操作関連技術の研究水準を海外に紹介してゆく事であります。もう一つの目的は、学会やシンポジュウム等の会合の情報交換機能を補完強化し、それでは満たし得ない種類の情報交換を推進する事です。この結果として、本誌は、Wet Coatingの実務に携わる生産技術者が日々邁遇する多様な個別的断片的事実を貫く普遍的側面を認識し、日々の経験の合理的蓄積と体系化を計るお手伝いが出来ればと考えております。

この目的を実現する為に、記事の表現と内容、及び情報収集について、以下の三点の徹底を図る所存です。

[1]平明な表現:
表現は特定の技術的素養の無い人にも理解できるよう平明であること。現象が何故何様にして生じるのかという物理が適切な物理的モデルを用いて議論さるべきであって、モデルを記述するための数式や計算法は原則として省略、それらに興味を持つ読者の為には参考文献を挙げるにとどめること。

[2]実務的内容:
内容は塗布製品の製造現場の技術者が日々遭遇する現象や技術的課題に直結しており具体的であること。但し、個別的断片的事例の報告や解説だけでは不十分で、多様な個別事例が共通して内含する普遍的側面と関連し広い適用性を有するものであること。

[3]良好な情報交換-良質な議論や問題提起:
塗布操作の実務家と基礎的研究者の間、異分野異業種の技術者研究者の間、そして国内および海外の技術者研究者の間の良質な情報交換を目指して、適切な題材の選択と國の内外を問わず最適任者やの執筆依頼、各主要記事にはコメントや関連する情報・データ等の参考記事の同時並列掲載。

要するに、本誌は、塗布現場の実際に即した素材を広い適用性のある視点から料理した各種情報のフレンドリーな交換を目的とした、全世界の塗布関連の技術者研究者を継ぐミニコミ誌を標ぼうしています。

何卒、「塗布技術研究」の刊行主旨にご理解頂き、御購読御寄稿につきましては、多方面からの多数の方々の御支援御協力を賜りますようお願い申し上げます。

敬具

塗布技術研究会代表
九州工業大学工学部 山村方人